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食物栄養専攻 食品の品質を確かめ、食中毒を予防する「食品衛生学実験」


 食品衛生学実験は2年生の前期に行われる授業で、栄養士として、安全な食事を提供するときの衛生管理の基礎を習得することが目的となっています。食品の調理、加工、製造から対象者・消費者の口に入るまでのすべての段階において、食品の品質・安全性を確保するために必要な知識と技術を学んでいます。

 実験では、保存料や着色料などの食品添加物を身近な加工食品を使って分析したり、食品の鮮度を確かめたりします。その中で、食中毒の原因となる細菌に関する微生物実験も行っています。衛生管理の基本「手洗い」は調理に従事する者にとって非常に重要です。給食施設や食品工場などの現場では、手洗い後に洗い残しがないかどうかの簡易検査を定期的に行っています。今回の実験では、グローブジュース法に準じて手指に付着した一般生菌数と、食中毒の原因になり得る黄色ブドウ球菌数を測定しました。これまでは、被験者となる学生は実験前に手洗いせず臨んでいましたが、昨今は、新型コロナウイルス感染予防のため、普段から手指の洗浄とアルコール消毒を頻繁に行っているので、少なくとも大学構内に入る際に1回はアルコール消毒済みという状態で実験を行いました。
 
 使用する試薬・器具の滅菌処理や無菌的環境で寒天培地を作製するのは、大部分の学生にとって初めての経験でした。事前にトレーニングを行っていたので当日は班の中で協力してスムーズに操作でき、培養後に培地上のコロニー数をカウントしました。直前に石けんで洗浄した場合は一般生菌数と黄色ブドウ球菌数はどちらも少ない傾向にありましたが、手洗いしていなくても黄色ブドウ球菌が少なかったり、逆に手洗い後なのに細菌数は多かったという班もありました。他の班の結果と比べて、個人差があることも分かりました。

 実験後の学生たちのレポートでは、わざわざ黄色ブドウ球菌を検出しやすいように手指に傷や肌荒れがある被験者を選んでいたことで推測通りの結果になったことや、事前にアルコール消毒をしていても実験台や自分の髪・顔などに無意識に触れていたことで菌数は少なくなかったことなどが報告されました。そして、石けんによる手指の洗浄ではすべての細菌は除去しきれないので、十分な洗浄後にアルコール消毒することの重要性を改めて実感しました。
 これからの時期は、気温・湿度ともに食中毒に関わる微生物にとって増殖しやすい条件が揃います。食中毒予防の3原則「付けない、増やさない、やっつける」を常に意識していきたいですね。

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