キャリア教養学科【NHK福島放送局コラボ授業】「伝承」とは何か? ~長崎の交流証言者・田平由布子から学ぶ~
キャリア教養学科の専門科目に「プランニング入門」という授業があります。計画することとは何かをプロジェクト型で学ぶ授業です。
昨年度からこの科目では、地域活性についてのプロジェクトを実際に行っていますが、今、地域は元気と言えるでしょうか。そもそも地域が大切にしてきた伝統や文化、価値観はどうして薄れてしまうのでしょうか。そんな問題意識から、今回は「伝承」をキーワードに、NHK福島放送局とコラボの授業を実施しました。
今、NHK福島放送局では「語り部クロス」というプロジェクトを行っています。語り続ける重要性をフォーカスし、全国の語り部さんたちが共に想いや悩みを共有していく内容の番組です。
今回はこの番組でご縁をいただき、長崎県で「交流証言者」として対話を通じた平和教育を実践されている田平由布子さんにゲストに来ていただきました。
田平さんは戦争体験者ではなく、吉田勲さんという被爆者であり語り部だった方の想いを今に伝え続けている方です。田平さんが原子爆弾投下時の語りを始めると、まるで吉田さんがいるかのように教室の空気がガラリと変わりました。学生たちの振り返りシートでは、「実際に語り部を聴いてみて、勲さんの話に変わるとき深呼吸をしていると思ったら突然空気が変わり、驚きを隠せなかった。『言葉でイメージが変わる』と田平さんはおっしゃっていたが、言葉で場所に限らずとも空気も変えることができると知った」とのこと。
そして私たちに対する田平さんの大きなメッセージは「継承・伝承は誰でも出来る」ということでした。継承は受け継ぐことで、伝承は受け継いで伝えることであり、誰でも出来るからこそ年齢関係なく歴史に携わる事は重要であり、伝えることで学ぶ側とはまた違った視点が見えてきます。
学生は、田平さんの語りと決意、行動力にAIと共存社会の今だからこそ、私たちがもつ「言葉の力」「想いの力」「つなぐ力」を地域にどう生かしていくかが問われていることを痛感したようです。
田平さん、この度は遠方から大きな学びを本当にありがとうございました。この場を借りて心より感謝申し上げます。