【福島学2022】南相馬市フィールドワークから得たものは?
福島学の魅力は、目標を立てたのちに自分のその目・耳・手・足・五感そのものを使ってフィールドワークを行い、自らの気づきを共有し、多くの仲間と学びの深化ができるところにあります。
今回のフィールドワークのミッションは「地域の方へ積極的に話しかけて、リアルな声を拾ってくること」。
フィールドワーク先は、南相馬市防災センター、小高交流センター、haccoba、小高ワーカーズベース、NIKOパーク、双葉屋旅館、福島ロボットテストフィールド。特に小高区では、2.5時間のフリータイムです。学生たちはチームに分かれ、自分たちでどこへ行くか、どのような質問をしてどのような声を拾ってきたいのかを7月末の授業でディスカッションしました。
いよいよ8月18日、コロナ感染に十分気をつけながら南相馬市フィールドワークへ出発。
チームそれぞれが、自らの目標を持ちながらあちこち巡り、地域の方々へ様々な質問をしたようです。
翌日8月19日は、気づきの共有。どのような質問を投げかけ、どのような声を頂戴し、そこから自分たちが何を考えたのか。復興を推進するためにどのような行動を考えなくてはならないのか・・・をまとめ、他チームと共有しました。
学生の気づきコメントの一部を紹介しましょう。
・まちで出会った人3人にインタビューをした中で、全員が共通して言っていたことが「交流を大切にしている」だった。実際に、まちですれ違った人みんなが挨拶をしてくださり、それを実感した。
・今回の小高区内フィールドワークで話を聞いた小高ワーカーズベースさん、haccobaさん、双葉屋旅館の女将さんはそれぞれ違う想いを持ってこの小高区で暮らし、仕事をしているが、みんな小高区が好きだということがとても伝わってきた。
・印象に残るキーワードは「自分なりに伝えていく」である。震災の影響を大きく受けながらも、旅館や地域を大切に思う双葉屋旅館の女将さんのお話にあったため、このキーワードを選んだ。私たちは福島学を通して、今回のフィールドワークを含めて福島県について調べて学んでいる。しかし、どれだけ知識を得たとしても、それを発信していかなければ福島の復興を推し進める手伝いとしては物足りないのではないかと思う。それでも、学生である私たちにできることは限られている。その中で、自分にできることをよく考えて、できる範囲で継続的に伝えていくことが大切だし、それによって、自分の中に取り込むことにもつながるのだと気づいた。
・小高区フィールドワークで気づいたことは目が合うと挨拶をしてくれる人が多いことである。またインタビューをしてもいいですかと伺った時もいいですよとこころよく受けてくれる方が多かった。まず挨拶についてはしてもらうと嬉しさ、ありがとうという気持ちになれ心が穏やかになると改めて感じた。ちょっとした声かけで人の心を支える手助けになるのだと感じた。またインタビューをしたほとんどの人が交流ができるように、心の拠り所になれるようにと心がけていた。私自身、復興や孤独死の対策として住む人が不安を抱えず穏やかに過ごせることが大切になっていくと考えているため、挨拶のような日常的にできる些細な会話、声かけや世間話などが自分の地域でも当たり前になれるよう活動したい。
学生たちはフィールドワークで、大量の収穫をしたようです。
さて、これから重要なのはこの収穫を社会につなげること。いわゆる「接続型学習」です。
学生たちの「福島学の実り」を、地域につながることを期待します。