福祉学I(第3回)「パンダハウスを育てる会 その実際と意義・理念」
1年生が建学の精神「愛と奉仕に生きる良き社会人」を理解するための科目である「福祉学I」は、2023年6月27日の授業で3回目となりました。今回は、NPO法人「パンダハウスを育てる会」理事長の山本佳子先生にお越しいただき、会の意義・理念、そして実際の活動内容についてお話しいただきました。
本題に入る前にまず、「なぜ、この活動を開始したのか、ということがよりわかりやすくなるように、「闘病中の子どもをもつ一人の母親(本学の卒業生でもある)の手紙」の朗読から入っていただきました。
この母親の「病気の時こそ、良い環境で大事にされたい、少しでも自分の家庭に近い環境で、当たり前の生活ができるように」という思いを具現化していく過程で生まれたのが、福島県立医科大学病院至近にある「パンダハウス」です。「パンダハウス」は、病院の近くの「我が家」として、宿泊のためだけでなく、心のケアに重きを置いた安らげる場を提供するのだ、という理念で設立されました。
その理念の成立過程や、実際に設立するための試行錯誤の歩みなどを、豊富な写真を交え、詳細に説明いただきました。ハウスを建設していくのも、多くのボランティアの手作業によるものだと知り、皆驚いていました。
また、現在のパンダハウスの運営状況、「闘病中の子どもとその家族」の実例を、詳細にお示しいただきました。利用された方は一様に「病気のときこそ普通の生活を」という理念を体現した施設の中で、大切なひとときを過ごされ、結果的にそれが、子ども本人の闘病意欲を高める、というエビデンスも示していただきました。近年の小児医療の現状についても示していただくことで、パンダハウスの存在意義が一層よく理解できました。
そして、これらの活動もまた、長期・単発を問わず、自発的なボランティア活動によって支えられているのだということも学びました。
非常に濃い内容でありながら、学生の「愛と奉仕」に関する学びが自然と深まるように、わかりやすく、工夫してお話いただきました。改めて感謝申し上げます。
学生たちは、講演後のレポート作成にも真剣に取り組んでいました。
そのレポートの一部をご紹介します。
・実現のためには相当な苦労があったと思うが、病気の子どもと家族のために勇気を持って活動してくれた人々には感謝してもしきれないほど尊敬の気持ちを持った。私もできることがあったら積極的に行動に移していきたいと思った。
・ボランティアの方が、利用者さんの気持ちの負担にならないように黒子に徹する、という思いが、本学の建学の精神に通じると感じた。
・色々なことを調べて、自分にできることを探し、困っている方の力になれるように自分のすべき行動を考え、今の元気でいられる日常に感謝して生活していきたい。
・ボランティアだから自分たちは黒子の存在で、むしろ、「来てくれてありがとう」という感謝の気持ちを持ってこの事業に取り組んでいるというところが素晴らしいと感じた。
・相手にしっかり寄り添い、自分は何ができるか、どうすればよいかなどを考え、それを実際に経験していくことにより、そこでしか学べない大切なことを知ることが、本学の建学の精神「愛と奉仕に生きる」の部分に深く関わっているのではないかと思った。
・ハウスに来て遊ぶことで熱が下がったり、リハビリより効果が出ていたりする、と聞き、環境はとても大切だなと感じた。
レポートからは、学生たちの中で、これまでの学び、そして、今回の講演を通して、「愛と奉仕」に対する意識がより一層高まってきたように感じられます。
今回ご講演をいただいた山本先生に改めて感謝申し上げます。