MENU
  • 資料請求
  • オープンキャンパス

食物栄養専攻2年生 臨床栄養学実習~潰瘍性大腸炎食・嚥下食に挑戦!~


 臨床栄養学実習における調理実習は他の調理実習とは少し違います。献立(使用する食材とその量)は提示されますが、作り方は自分たちで考えます。したがって、1食の摂取エネルギーと栄養素量はほぼ一緒であるにもかかわらず、班によって味・見た目が違う食事が出来上がります。
 

<臨床栄養学実習の目的>
1. 食べる人(患者)のことを想いながら(考えながら)調理する。
2. 献立通りの成分が器に盛られ、提供されるように考えながら調理する。
 料理をする時に一番大事な事は「食べてもらう人のことを想う=愛」ですね。今日の臨床栄養学実習は下記の人のことを想いながら(考えながら)料理してもらいました。

 
<今日の患者さんその1(想像上の人物です)>

59歳・男性、身長:140 cm、体重:40 kg、BMI:20.4、主病名:潰瘍性大腸炎
半月前から血便が続いたため、外来受診した。検査の結果、直腸とS状結腸に潰瘍が多発、腸管浮腫も見られた。潰瘍性大腸炎と診断され、絶食、抗生剤治療が開始された。
Alb: 3.3 g/dl、CRP: 18.0 mg/dl
<入院前食事摂取状況>
 半月前から食事量が減少。入院前の半月間は、必要量の半分程度の食事量と推定された。
<経過>
 1週間、抗生剤治療と中心静脈栄養によりCRPが低下し、炎症が治まった様子。その後食事が開始された。流動食(1日間)→三分粥食半量(3日間)→三分粥食(3日間)→五分粥食(3日間)→七分粥食(3日間)→潰瘍性大腸炎食(今日の実習献立)

 
<今日の患者さんその2(想像上の人物です)>

5年前に物忘れがひどく外来受診した際、認知症の疑いと判断され、その後通院していた。今回40℃の高熱と間欠的な悪寒、および仙骨部に褥瘡があり、加療目的で入院となった。
Alb: 3.3 g/dl、CRP: 18.0 mg/dl
<日常生活動作状況>
 寝たきりの状態。自立体位交換は不可。食事中のムセはないが咽頭残留音がある。
<経過>
 1週間、抗生剤治療と中心静脈栄養によりCRPが低下した。摂食・嚥下機能評価により、嚥下食(今日の実習献立)が開始された。

 
<今日の実習献立その1>

食種:潰瘍性大腸炎全粥食1600 kcalの昼食
・全粥/豆腐ハンバーグの野菜餡かけ
里芋の柚子味噌かけ/菜の花の和え/バナナ/牛乳
・エネルギー:643 kcal ・タンパク質:24.8 g
・脂質:16.4 g ・食塩相当量:2.0 g
・食物繊維総量:3.6 g

 
<今日の実習献立その2>

食種:嚥下食1200 kcalの昼食
・粥ゼリー/豆腐ハンバーグ
里芋の柚子味噌/牛乳ゼリー
・エネルギー:522 kcal ・タンパク質:14.9 g
・脂質:9.3 g ・食塩相当量:1.5 g

 
<今日の実習で学んだ事・感想を紹介>

● 豆腐ハンバーグの材料を全部フードプロセッサーに入れて混ぜて作ってみたら、ふわふわになって美味しかった。
● あんかけのあんのとろみがうまくいかなくて3回もやり直した。
● あんかけの水分が飛んでしまい、あんにならなかった。
● 里芋の柚子味噌にみりんと間違えて醤油を入れてしまった。
● 今までで一番上手に出来たが、副菜の一人分の盛り付け重量を間違えた(写真参照)。
● ソフト食の作り方が意外と簡単で驚いた。
● ソフト食が固まらなかった。
● ソフト食にすると食器がべたつかず洗いやすかった。感動!!
● スベラカーゼを開発した人はすごいと思った。
● ゼラチン、寒天や片栗粉を使用して作った嚥下食の欠点を知ることが出来た。
● 補食の濃厚流動食は味によって美味しいのとおいしくないのがあった。
● 補食の濃厚流動食は鉄の味がした。
<ソフト食の食べた感想>
  おいしくない。食感が無理だった。見た目が悪く食べたいと思わなかった。
  舌触りがざらざらした。もう少し味が濃い方がよいと思った。塩をかけると食べられる。
  ハンバーグと牛乳は美味しかった。変な食感。
  もう少し工夫して味、見た目を変える必要がある。
  牛乳ゼリーも味がすこし変わっていた。
  ソフト食は噛まずに飲み込めた。
● 今日ソフト食を食べて、常食を長く食べられるように、バランスの良い食生活による健康増進に心がけたいと思った。

 
 今日は調理した潰瘍性大腸炎食の1食分を使用して嚥下食を作りました。
 実際に調理・試食して、「ソフト食をもっとどうにかしないといけない」、「このような食事でないと食べられなくなる前にどうにかしないと」、「健康でいる為にバランスの良い食生活を心がけたい」などいろいろなことを考えさせられる実習のようでした。今日の患者さんの症例とその食事を知って、少し衝撃を受けた学生もいたようです。高齢化がさらに進む日本において、将来介護予防に取り組む栄養士になって欲しいなと思いました。

©Sakura no Seibo Junior College. All Rights Reserved.