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食物栄養専攻~臨床栄養学実習〜病態に合わせた食事づくり「献立展開」を学ぶ



 栄養士が活躍する代表的な職場として病院があります。
 1年次から、「病院における食事は重要な治療の手段の一つであり、症状に合わせた適切な食事を提供することで患者さんの回復を早めることができるが、食事が適切でないと、回復が遅れたり症状が悪化したりするほか、時には命にかかわる重篤な問題が生じる」ということを基礎から繰り返し学んできています。これまでに学んだ知識を、病院における実際の食事作りに活かす技能を身につける実習がこの「臨床栄養学実習」となります。
 「症状に合わせた適切な食事」の重要性は先に述べた通りですが、病院給食は多くの患者さんに一斉に食事を提供する形態であるため、一人ひとりに合わせたきめ細やかな献立の作成を行うことは困難です。そこで「献立展開」という技術が必要になります。基本となる献立(常食)を決めた上で、同じ食材を使いながら、医師から指示された、症状別のエネルギー摂取量や栄養素摂取量に合わせて、食材の量および、調味料や調理法などを変更し、症状別の献立を作成していきます。


 こちらに示した献立は、どちらも同じ食材を用いたもので、上が「常食」、下が、すい炎(すい臓の疾患)の患者さん用の食事となります。すい炎の食事療法で気をつけるべき点は多くありますが、最も重要な点は「脂肪の摂取量を抑える」ということです。したがって、下の献立では、調理に使う油を減らしたり、肉も脂身の少ない部位を使ったりするなどの工夫をしています。

 しかし、単に「脂肪を減らす」という意識だけでは、医師の指示どおりの摂取量まで減らせない可能性もありますし、逆に減らしすぎて回復に必要な栄養まで削ってしまうこともあります。前述したように、患者さんの命にかかわることすらあるのです。
 そこで大切になってくるのが、一食ごとの「栄養計算」になります。上に示したような「栄養計算ソフト」を用いて、食事に含まれる栄養量を正確に把握しながら、食材の使用量を調節し、調理法を考えていくのです。一見、使うのが難しそうな印象を持たれるかも知れませんが、臨床栄養学実習においては、調理の方法だけでなく、ソフトの使い方も身に付けながら、グループで協力して献立展開の方法を学んでいきます。
 食物栄養専攻の卒業認定・学位授与の方針には、「『いのち』を守るために、多様な人々と協働して課題の発見・解決に取り組むことができる」とありますが、臨床栄養学実習はこの方針を実現するための科目の一つと言えます。

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